聖夜、水色の花に触れる/秋葉竹
歌は、
今夜も眠りをいざなうだろう
僕は、
この部屋にながれる
美しくも、切ない、哀しげな調べを
オーティス・レディングの歌声を
その『ホワイト・クリスマス』を
祈りを込めて、聴くだろう
君はいつまでも、
なぜ僕のまぶたを見つづけているのだろう
夢を忘れようとしない僕は眠り
その夢色の眠りの中で
フローリングが冷たくて心地よく
冷めきった水色の心の花に触れる小指の先を
そっと、みつめ、
みつめ、みつめ………
涙がながれおちるまえに
手鏡でチェックをして、哀しみの色を消す
なにも
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)