青い花/
日下日和
いつくしみ、それから。
海辺に立って眺めると、世のなかのへりが見える。すべてひとはそこから滑り落ちていく。花や木や鳥や雲、それからコカ・コーラやマルボロは落ちていかない。滑り込むのは、僕らの時間ばかりだ。
重なり合うもののうえに手を置いて、ひとりが声をあげる。もはや、言葉ではない。
きしんだ、晴れた音色。複雑に接ぎ木された。
失って、まだ。
砂地に枯れた枝を突き刺したひと。
二月。
戻る
編
削
Point
(8)