それはおそらく血の記憶だろう/ぽりせつ
 
それはおそらく血の記憶だろう
未生以前に何度もみた風景

空を見ていると思い出す

場所も時代も飛びこえて
同じ空の下に佇むただの目

この幸福感はなんだ
覚えのない郷愁は
私に遠い昔の空を見せる

子供たちが、ずっと空の下に遊んでいるのは
彼らが前世に最も近いからだろう
記憶にある空が心地よいのだろう

記憶とは
幸福とは
未生以前の目とは

魂が肉体を超えて尚、記憶に幸福を感じるなら
すべての生は是なのか

私が生まれたことは是なのか
この幸福は是の証なのか

空をみていると思い出す

血の記憶は
脳が忘れた前世の風景

そして
再び生まれてきたことを祝福してくれる
唯一の言葉

人が生をくり返す意味に
最後に答えてくれるのは

それはおそらく血の記憶だろう
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