スラップスティック・メルヘン/ホロウ・シカエルボク
 
しいってことになる…ほら、あそこでそう言ってる、警察はまだなのか、救急車を呼んだ方が良いわ、ってね」
「傷なんて人に見せるもんじゃない、痛くても怖くても悲しくても自分がそれを飲み込んで消化するしかない、わかる?」
女は俯いた、不揃いの伸び過ぎた髪がその顔を隠した、でも泣いていることはわかった
「俺は君をどうこうするつもりはない、おかしな言いかただけど、俺が君くらいの年齢のころ、君よりももっとひどいことをしてしまう可能性だってあった」
「自分を見つめ過ぎてどうしようもなくなって、結果他人に向かってしまうことはある、君が俺を狙ったのは、俺がひどく無防備だったからだ、たぶんそうなんだと思うよ」
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