鎖の歌/秋葉竹
 
は、人の心より冷え切っていて
入った瞬間は、寒いと感じるくらいの暗黒の空間

世界は、まだ、それほど安穏としているから
みんな、ひそめずに、息をしていられるだろう

その消えてゆくさすらいの歌は
すべてを慰めるこの部屋にも舞い降り
聴きたい心を隠す人の耳にも
そっと聴こえるような浪漫があるだろう

もう、その歌を忘れたい者たちの耳にも
しっとり濡れるように、聴こえてくるだろう

心の扉を開ける歌声は、
清々しい情熱の響きにも似て
聴く人の心を奪い、
忘れられなくさせるだろう

隣の街には雪が降り
凍りつく日常が戻って来ているのだろう

だから、人はこの部屋から
出られない心の闇に魅せられているのだろう





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