踏切/ふじりゅう
 
ここに一筋の海があるとして
だけど、そこに何かある訳じゃない
言葉に出来ないような貝殻や
名状しがたい砂浜のアートが
何故だか僕の纏まらない思考を
一瞬忘れさせてくれるだけだ。

例えば、一人の友達がいるとしよう。
飛行機に乗ってお菓子を渡そう
彼の「ありがとう」が
僕をどれだけ傷つけるか、分からないから
僕は誰も要らずに
指にアメンボを乗せた

眉間にシワを寄せて
腕を組んで 黙って立ってたら
みんな新幹線に乗っていた

踏切で佇む側で
トランプを嗜む貴族達が
僕を留めずに行き過ぎた

そこで、草陰の
しみしみと流れる小川の
未知数の清水を唇で啜ったんだ
僕のアメンボ
空想の祭り 妄想の絶景

カンカン、カン カと、また 現実が行き過ぎた
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