愛しのサチコ/ふじりゅう
 
電気を消すと鱗雲がよく見える
ぬいぐるみの中は禁断だったけど
青い吐息をまた 水差しへ逃がしている

,---
きな粉をまぶした様な
つまらない瞳の輝き が
私に写った彼の全てであり
何故だかそれ以上は考えたくもない

気がつけばズブリと闇のプールにいて
一切の光子の行き着く先が 遮断されていた
それに親近感を覚えたのは
何故だろう 考えたくもない

,

滑らかなクリームを塗られた失敗に
ズブズブと溺れて上がれない
ねたり ねとりと巻きついて離れない
ぽん
とオムライスのような不一致さに苛まれつつも

彼の求めてそうな こえ
を、喉奥から捻じ捻じ
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