冬に向かう 三篇/山人
 

葉が落ちた一本の木の梢である
小鳥はトリッキーな動きでせわしなく動いている
それぞれの木は葉が落ちて
痛いほどの残照がふりまかれ
すべてが黄金色と言ってもよかった

小鳥は群れと離れてしまったのだろうか
それでも口ばしを幹に突き立てて
ちいさな虫をついばんでいるようだ


正午を過ぎると日は傾き始め
鋭い逆反射の残照が降り注ぐ
影という巨大なものに身をささげるために
いたる木は裸になり口を噤んでいる

私はひそかに木となって
隣の小鳥を眺めている
ときおり狂おしく可憐な声を発しては動き
何かに怯えるように細かくぐぜっている

木から離れた私は歩きだして
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