川の底を覗き込む/こたきひろし
 
のは著しく娯楽に欠けていたからに違いない。だから夜は長く楽しみは限られていた。
子が沢山産まれてもその分まともに成長し大人になる子供は限られていたので数はうまく調整されていた。
途中でその多くが死んだのである。その死因は様々だが、生き残る者は生存するための闘いに勝残った選ばれた子供だった。
血肉を分けた子供らの間にも食の奪い合い。病弱で体力のない子供は真っ先に消えていった。

危険な川遊びは子供らの命をふるいにかける重要な役目を担っていた。
元々娯楽がないせいで身籠ってしまった子供らだから、暗黙の了解のもとに口べらしの方法として有効であった。
全ては貧困と人間の悲しい性のなせる結果だったが。



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