鳥になる/服部 剛
 
吉祥寺の老舗いせやで
鳥の小さな心臓を食べた

今日でトーキョー都民になって、一週間
せっせと外へ運んだ
古い家具たちに手をふり
四十三年培ってきた
自分をりにゅーあるすべく
串に刺さる
〈ハツ〉という名の心臓を
こりこり食べる

お猪口に揺れる熱い…おみずを喉に流して
焼けた鳥の心臓と
すたっかーとのこの心臓が
なぜか同化するように
遠い翼の記憶が蘇ってきたら
新たな日々の地上を

僕は飛ぶ  





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