縁側/
為平 澪
杓の入ったバケツをおろし
縁側の方にお辞儀する
そのあとを金色の丸いやかんを抱えた子供が
必死でついていく
土をいじり 水をまき
育ったものと実を結ばなかったものを
庭は映し出していた
内側から見えるもの
そこを通り過ぎたもの
そして運び出されて戻ってこなかったものが
庭先で遊んでいる
赦すことも手放すこともできず
墓守りのように座り続けた長い影も
陽の傾いた縁側と重なり合いながら
少しずつ 倒されていく
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