紫のカリフラワー/藤鈴呼
薔薇を手向けるのが好きだった
貴方の代わりに
一輪挿しを生めるなら
目の前で儚げに咲くラベンダーよりも
ふわふわの雲をヒトサシ
唇が切れぬ程の柔らかさでもって
棘など まるで 知らなかったかのような 角度で
微笑んであげる
手を伸ばしてあげる
両手を空に向けて
唇を仰いだ団扇から外したら
顎が外れるくらいに 笑えるかしら
粒揃いの光たちが行き過ぎる
何かを引き摺る音
夕暮れのトキメキから解き放された朱鷺が
頬まで朱く染めるならば こんな瞬間
真っ青な蒼も空も海も忘れて
真っ赤な唇だけを求めて泳ぐのね
ふよふよと頼りなさげな
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)