夜の砂漠/秋葉竹
 


あゝ、それにしても
時代の騒音は
どうしてこんなに胸に残るのか

夕べ、楽しい
笑顔の写真をみた
懐かしい、カーニバル
踊り狂った
ふたりの距離は
どんな不幸も忘れさせてくれたね

なにもかも
忘れさせてくれる
優しい夜が明けて

目を覚ますと
遠い異国から
わたしを呼ぶ
あなたのこえがするよ

あなたを喪った慟哭を
抑えきれずに
酔いは醒め

暖かな朝日の赤い日射しが
白い静かなシーツの向こうから
狂乱の春の花の名前を呼んで
さみしさをゆらしている

さくや、このはな、
このはな、さくや

ガクガクと全身を痙攣させて
悲しみのこえをこらえても
ままにならいこころは声を漏らす

さむい、さむい、
この世界は、
ほんとうに寒い夜の砂漠のようなもの



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