炎色/新染因循
 
雲のなかの金属たちは
艶やかな焔となって、

夕暮れに言葉は燃えた
頬を赤らめるしかなくて
赤々と燃えた

だが街は暮れていくばかりだ
街頭の影が背伸びをしても
たしなめる者もいなくて、

幼子よ、
頬を赤らめて走る幼子よ、
そしてお前は言葉をにぎって
街路樹でたき火をした

夕暮れに言葉は燃えた
降りそそぐものは灰か雪か夢、
そして寒い寒い夜がくる。

戻る   Point(5)