ふるい詩集/あおいみつる
 
陽の光で焦げついた表びょうし
ページをめくるたび
懐かしい香りがひろがる

時代のおもみを指で感じては
ため息ひとつふたつ

栞のよつ葉のクローバーは
貴女あての恋文にとみちびいてくれた

とおい思いでは時にうもれても蘇えり
あの蒼い季節にといざなってくれる

ページをぱらぱらとめくると潮騒の音
安けさは母のふところ
蕾はやわらかだった

陽の光で焦げついた表びょうし
ページをめくるたび
懐かしい香りがひろがる

わたしも詩集もともに歳を重ねてゆく



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