少女は、荒野をめざす(風塵《改》)/秋葉竹
 
すれた声だけが頭の中に聴こえる。
空から降るそれは、
あたしの聴きたくなかった
幻の声だろう。



そうなのか?

さっき見た、
流され、凍って、棄てられた、
天使のぬけがらが
君の、
ヤツにすべてを奪い尽くされたあとの
今の心の姿だったのか。

さぁ、
ほんとうのことなんて、
わからないさ。

ただ、ひとり、待っていても。


丘の上の公園の、
樹々の枝を揺らす冷たい風、
吹き止まず、
ただ茫々たる眼下の荒野の街へ
吹きおろす、

風、吹きおろす、

風、吹き止まず、

砂塵のなか、もはや挑む心もなく、
けれど、なぜか、
あたしはこの街を、すてない、
風塵のなか、目を伏せ、ひとりでも………


ひとりでも
ただ
君を待ち

立ち尽くす





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