だまされたくない/秋葉竹
もしも、
ああ、もしも、ね
もしも願いが叶うなら
もしも、
ああ、
もしも許されるのなら、
今年のうちに
すべてを忘れてしまいたい
古い記憶から
あの日の寝室の記憶まで
すべての忘れられない
風景を。
あの、
幸せな温もりにくるまれていた
春の夜の寝室も、
言葉でお互い古傷を抉りあった
あの、
憎しみさえすり減らした
いちねんの最後の夜を終えて
リビングのソファーで寝た
心が凍った明け方も
なにが、
あけまして、なのか、
なにが、
おめでとう、なのか、
ふざけてんじゃねぇよ
と
頭の中まで
チクチクして痛んだ
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