楽園/竜門勇気
陸上生物の楽園が地上
始めるのをやめるのが
僕の特権
冷たい蹄をぬかるみのなかで
歌わせていようよ
跳ね回るノミが煙みたいに見えた
死の間際の君は赤い炭みたいに見えた
近い場所から
遠い場所へ
角があったからまっすぐ来たんだ
そう、眉間に一つ
僕よりも真っ直ぐな角が
誰かより苦労したとは思ってないけど
誰よりも賢く振る舞ったとも思えない
双子の星が空にいくつある?
一人ぼっちの星と同じ数だけ
海棲種の祈りは誰に届くんだろう
だって祈りなんてありふれたもんだろ
僕が祈った願いの残滓が
君の窓辺で見つかって
宛先を書かずに送り出す
砕けるような想像
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