ひとつ 警笛/
木立 悟
壁の前に立ち
壁を聴く
空へ空へ
たなびく街
陽と灯のつらなり
水のかさぶた
凍える夏の
切断面の午後
行から連へ繋がる滴
小さく低く短い震動
叫びたち 曇の水紋
雨と羽と 光の遍歴
残された根に触れ
去りゆく稲妻をなぞり
鳥は背の冷たさに
ひとつのむらさきの笛の音を羽織る
戻る
編
削
Point
(3)