悪癖を愛す/卯月とわ子
貴方の瞳の中にわたしが居た
貴方は他人の目をしっかりと見つめて話す癖があるでしょう
わたしはそれが苦手だったのよ
何もかもを見透かされる気がして
でも貴方の瞳はそんな事を求めていた訳じゃないんだと
今になってようやく気付いた
貴方はわたしの中に
貴方に対する愛があるか確かめたかったのでしょう
わたしだけじゃない
他の人たちにも同じようにしていた
貴方は一人ぼっちが嫌いだから
いつも誰かを探していた
隣に立ったのが偶然わたしだった
というだけで
他の人でもこの役は務まるのだろうけれど
これも何かの縁だと
わたしは自分に言ってみた
その言葉はストンと心
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