ただ、歩く/秋葉竹
け
こころなくした
あさましい屍を晒す
歩いて
忘れなければならない
運命の仮面をつけた
正しい笑顔を
見せられる魔法の風景
切り取られた
一瞬でもいい
悲しい涙が乾くその刹那を
見せておくれよ
そして
さまざまな
忘れてしまっていい
不幸や災いの記憶だけが
けっして消えない
靭く刻み込まれた銅版画の刻みだと
あらためてどす黒い絶望を
与えてくれる苦しみを
癒してよ
歩いて
どこかゆくさきの道標には
すがりつくことができたのだろうか
歩いて
ゆかねばならないだろうか
歩いて
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