松水の子守唄/竜門勇気
ない
私達がずっと継ぎ足し
今までここに残してきただけの
教訓に進む一つ前の蛹を
私は告げる
告げる告げる告げる告げる
継がれた枝が広げる葉が
夜をつくるつくるつくる
まず最初の人はいた
最初の人は寂しがりはしなかった
二人目が来た
最初の人は寂しがり始めた
寂しさの始まりだ
最初の人は寂しがる理由なんてなかった
ただ、二人目ができたから寂しがってみせたのだ
お前がいるほうが良い
お前がいないと悲しいだからそばにいろ
そう思ってつくった
寂しいのだお前がいないと
二人目は去った
最初の人は寂しがるのをやめた
三人目があらわれた
最初の人は賢く
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