松水の子守唄/竜門勇気
始まりの場所を
私はあなたに告げる
告げる告げる告げる告げる
彼方より来た言葉で
喋り続けるだろう
私があなたに何を告げるのか
羨望と期待が入り混じっているように見える
しかしこの言葉たちには何も意味はない
あなたの故郷や
そうではない場所で
繰り返して聞いてきた生命の讃歌
そのようなものと同じと思って差し支えない
むしろより下卑た
単純な論理が繰り返される詩だ
語る声が違い
語る言葉が違い
語る人が違うから
神聖なものに思えるかもしれないが
不愉快な現実について
愉快な夢想について
何度も繰り返すだけの
退屈な事実の羅列に過ぎない
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