体温/ふじりゅう
 
する
帰り際に買ってたパンは
もう売ってすらいない
あの頃と違う いつの間にか嗜む
ブラックコーヒーと
君の前では見せられない
ケムリを買い足す

メビウスの輪を語る
倫理学の薄本に一瞥 、の後
硬直した君の 皮だけの頬に触れる
記憶の洪水が
世界と空間、や はたまた僕といった
いろいろな色々ないろいろな色々な
ものを決壊させて
貴方の言葉を千切る
精神と別離され 分子となった
唇へ そっと体温を合わせ

やけにリアリスティックな
耳打ちから逃れて
埃や 食べ遺した弁当が散らかる
色んな普通の生活を投げ置いた
部屋で 、 ぽ つ ん 、

栞をつまんで一葉一葉をぼけ・と眺めたり
徐に かつ 救われるように
手入れの必要のない唇を
さすり としたり
何故か笑顔で差し出された変テコなお土産だったりとか

その 様な物も のに しか、貴方 の
温もり が 宿 ってい ないと、知っ た。


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