体温/ふじりゅう
「私の事を、愛さないで下さい」
帰らない山彦が
その吐息の密度を濃く 豊かに変えた
純白の寝室 貴方のつたう涙に、
少しだけ 少しだけでも触れたかった
微々たるくすみだけで
手入れの不行き届きの分かる
ゴミ箱や 目覚まし時計やら
一人暮らしには広すぎる部屋
女性らしく継ぎ接ぎの跡が目立たない
ズボンの端っこ いつやらか
ちらり ちろりと
懐かしい顔が 飛び出していた
思い出のシャワー
代え続けていたバケツや
徐々に徐々に栞を挟み
完成へ進むアルバムが
懐かしいだけの宝物になった、だから
後ろに自転車走らせる 登校時のルート
同じ匂いがする
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