彼の地にて/
坂本瞳子
土地勘のなさを自覚し
不安を覚える異国の街で
冷たい風にさらされ
笑顔に救われる
三叉路に惑わされ
方向感覚を失い
坂道に押されて
またもや溜息をつく
夕闇に空腹が響きを成し
近づきつつある闇に恐れ慄き
宿へと気持ちは逸るけれども
幻影の館は遠のくように感じられ
憩いの泉よ蜃気楼よ
たどり着いた現実は
あまりに見窄らしく
我が身を呪いつ夜は更ける
夢の都はパンドラの匣
明日は浦島
故郷を想い
背に腹を変えても
生きてゆく
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