ふたつの色/
木立 悟
霧と緑が
空に到くほど昇り
その反対側は
水平線を覆い尽くしてのびている
夜と鴉は無言で争い
少しずつ異なる記憶が
水たまりの底に並ぶ
小さな波に歪みながら
天の糸が
奈落に垂れる
夜に 緑に
細く揺れる
手 灯 輪唱
窓から窓へ 通り過ぎる子
音は苦み
残らぬ痛み
夏の羽は去り
夕陽と影の色をした
木の四ツ足たちも街を後にする
永く短い 夢の習わし
手のひらを下にするだけで
指は霧と緑を歩み出す
真昼の縦の銀河たち
ふたつの色に昇りゆく
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