毛玉/ミナト 螢
遠い約束が僕たちを分ける
右側と左側に並んで
触れたら引っ込める指先の会話
ニットの毛玉を掬って投げた
白い扉で隔てながらも僕たちは
うまく距離を置いたね
思いが溢れてることを
見て見ぬ振りして過ごした季節が
君にとってどんなに辛くても
最後の言葉をぐっと飲み込んだ
僕の努力は優しさのつもり
金平糖みたいな白い星が
君の黒いコートに着陸する頃
そこだけ宇宙が引き合う偶然
僕はもう君に近付けなくなる
肩を落とさないようにリュックで
体の軸を決めて歩きながら
猫背を辿った僕たちの爪に
同じ星の輝きを見ている
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