roots/プテラノドン
あどけない声が待ってるよ。
煙草の灰と粉雪にまみれたカーステレオから流れる
ワンエニシング―、に合わせたシャウトが
舗道の雑種犬の尻っぺたを叩くんだぜ。
奴等の声はコードから外れちゃいるが
愛の精神(スピリット)とかわりはしないよ
それは誰もの「Jr.」のフレーズ。その意味は
おれの25番目の辞書には「許されるなら」と記されている
いつか母親は 誰のだか分りはしないと言って
どこかで拾ってきたカメラを娘に渡す
その何枚目の一小景では、男の掌は不機嫌なハンドルと
パンチドランクな愛を掴んでいた
撮られることはなかった(最後の一枚)
そこは 道や ことばのではずれたところの
誰も踏み込んでいないまっさらな雪の前で
彼女はかがみ込んでいる。その後姿に
男は千の接吻を送りながら去っていったんだ
―何のために?―
自由が、溶けないためにさ!
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