闇に在って/木立 悟
 






わずかに開いた
夜の扉
ふくらはぎを
受信する耳


ふるえ ふるえ
どこか冷たい
縦も横も
どこか離れて


どの扉にも
開けたあとがあり
その幾つかはひとりでに動いて
羽の生えた背中が見える


寄る辺無きものが
土を知らぬ草が
けだものの脚を洗い
冷たく在りつづけている


ひとりめのけだものが吼えると
ふたりめから後はいなくなり
けだものはひとり
焦土にひとり


密生した枝葉のなかの
枯れた数枚が風に揺れ
鳥に震え 鳴きながら
午後に影を曳いてゆく


蜘蛛の巣に覆われた窓の隙間から
血と星
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