ちいさいひとり/「ま」の字
 
夕べのそらの木の下で
かぜふくしげみにひざをかかえた
おれの顔のちいさい一人がすわっている
きまじめな面つきの
むかしのテレビドラマのような
ひどく地味なふうていで
(なあに 貧しいだけさ )

ふとしたひょうしにちいさいおれは
こどものころのかおになる
おや と見なおすとおとなのおれだ
おとながちいさいだけなのか
やっぱりこどもなのか
よくわからなくなってかぜも寒いのだが
そこに
おれの顔の一人はすわったままだ

くさむらのなかに居るおれは
かおなど 灰ぎみにあおざめ
着てるものといえば
シャツいちまいのぺえらぺらだ
どうした
なにか深いわけでもあるの
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