時が過ぎても/文字綴り屋 ひじり
あんなに輝いてたあなたの笑顔が
徐々にぼやけていく
あんなに心地よかったあなたの声が
段々小さくなる
あんなに締め付けられたあなたの言葉が
遠ざかっていく
それはまるで罰みたいだ
罪悪感と自己嫌悪で
私は目をつぶり
耳を塞ぎ
心を閉じる
真っ暗な無音の静寂は
恐くて寒かった
ただ自分の胸の鼓動と
体中を駆け巡る血流のうめきだけが
私の体が生きていることを思い出させる
時間の感覚もなくなった頃
もう目を開けても
何も心には映らないだろうと思った
もう耳から両手を離しても
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