入れ墨の女/ツノル
背は低く小太りな体型だが胸のふくらみは予想以上だった。ワンピースの袖をずらすと右肩に刺青が施されていた。
薄暗い部屋で酒に酔っていたのでよくは覚えていないが、観音菩薩のような姿だったと思う。
(まだ途中なのよ。)そう言うと、女は少しこちらの様子を窺った。
刺青をした女性をみるのはこれで二人目だ。もう一人は若いときに入れたような牡丹だった。それが太股の内側だったのか表だったのかは忘れた。ともに一見すれば普通の主婦だろう。しかし驚きはしない。これが背中一面に色あざやかな絵が施されていたならば、少しは肝を冷やすかも知れない。(いまでも彫るのは痛いのよ。)あたりまえだろう。馬鹿なことを聞いたもん
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