左の足から/坂本瞳子
左足が小さくなったのだろうか
どうしてもスニーカーが脱げそうになる
なんとか必死に踵のところで
抑えつけるようにして
やっとの思いで引きずっている
右足はそんな様子はちょっともなく
スニーカーに足はスッポリと
お行儀よくちょうど適切に
収まっているというのに
左足だけが小さくなるなんて
そんなことが起きるはずはない
なにが一体全体どうしてこんなことになってしまったのか
なにをどうしたら元に戻してもらえるのだろうか
自分がなにをしたというんだ
この世の中の悪いことはすべて自分のせいだというのか
ユーリディスを連れて地上に這い出る直前に振り返ったのも
ペルセフォネが地底
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