たぶんどちらでもいいことだけど/ホロウ・シカエルボク
卓上時計の刻みは前時代的で芝居がかっていた、造り物のオウムはけたたましい声で鳴き、そこに生命が無いことを殊更に訴えた、もちろんそんなことはどうしようもないことだった、オウムにも、俺にも…梁のように天井を横切っている鉄骨は溶けることのない氷山を連想させた、その赤色が船を思わせるせいかもしれない、ようそろ、と俺は小さく呟いてみた、誰も笑うことはなかった、けたたましく鳴いた偽物のオウムも、役割は終わったというように白けた調子で押し黙っていた、時刻はもうすぐ昼になるところで、カーテン越しに感じる外界は確かに晴れていたけれども、このところの天気はとても不安定で、俺はまだ外出しようかどうか悩んでいた、時代
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