冬空の通信/朝倉キンジ
涙する者は
死んだあと
青いかなしみとなって
宇宙遠方の
つめたいの霧のなかを
何かを考えてるふうに 歩き続けます
ひとが何光年もの希薄のなかを
さまようはずは ないですか
けれども
ここ仙台市街のはずれでは
電柱が一日中
生き物のように
すんとつらなって立ちながら
不思議な調べをかなでているのですが
(いっせいに鳴る空気のオルガンという感じ)
それは明らかな 意思をもっていて
空を馳せていきます
そういう時に
私はたしかに暗い勢力から
その経歴として 知らされたのです
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