偽りで話す 茶会/クロヱ
 

「ふむふむ これは興味深い香りだなあ」

また迷い込んだ ここはどこだ??
それも 何か 笑えるくらい 混沌とした景色が降ってきている
あたしは 絵具板の上でも歩いているのだろうか

「さあ あなたよ 手を引いて」

小さなおしゃべりが木の枝を差し出す
列を掻きぬけ 渡り歩いた先に 小さなパーティ会場があった
あたしは 一番いい席に向かい合うところへ座った

「ひとつ またひとつ もうひとついかが!」

そこでは騒音が鳴っていた
所狭しと並んでいるかかし共の 憂いにも似た音
それはどこにでもあるような どんなのものにも書いてあるような
そんなつまらないものだった
あたしは 冷めたものをすすり 立った

「さあ わたしの 手を引いて」

もう あたしが先導を切っていた
駆けるよりも速く 通り抜けるよりも前へ
その先へ! 今じゃないそこへ!
この場所にいたくないと その瞬間に思っていたと気付く

手元 それはすでに遠くのところで 
あたしの名前が響く

「わたしのものなのに!」
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