からっぽの世界に小石を投げ込む音を椅子に腰を下ろして聞いている夜中/ホロウ・シカエルボク
 

擬音的な焦燥が砂のように散乱したフローリングの暗い色のグラデーションを誰かの
ダイイング・メッセージのように読みながら疲弊し続けた今夜の遺言を日付が変わる前に
脱ぎ捨てた衣類には今日という名の皮脂がびっしりとこびりついているから
洗濯機のドラムは終始憂鬱な表情でそいつを抱きしめている、そりゃまあ
汚れだけは確かにきちんと落とすことは出来るけどさ、そんなことを
聞こえないくらいの小さな声で何度か呟きながら…そう、本質なんて変わることはないんだ
そういう意味では脱衣所の床は毎日毎晩俺の死体ばかりが転がり続けているのだ
なにかしら書き残すことがあるだろうという夜には悪あがきのようにキー
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