散歩に意味なんてないのだけれど。/よーかん
夕立の匂い。そろそろまたこの辺の雑草を刈らないといけないか。遠くでゴロゴロと空が鳴る。横道にそれることにした。砂利だった道に草が生え、トラックのタイヤの跡だけ線路のようにまっすぐ伸びている。このあたりは浄水と下水がきていないから、まだ建売住宅が伸びてきていない。地主のお婆さんがそろそろ亡くなるだろうから、すぐキレイな一軒家で埋まってしまうだろう。いや、工場が敷地を広げるかな。
デフレなんてウソだともう皆わかっている。低賃金労働がある場所に仕事が流れ、低賃金労働で安価に大量生産されたモノでそこらじゅう埋め尽くされ、クロリティーよりクオンティティー、質より量な世界になってもうかれこれ数十年たって
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