透明銀河/ミナト 螢
野球帽のツバを折り曲げるように
ガムシロップの蓋を開けたから
ピュッと飛び出す液体で濡れた
指先を舐める仕草が可愛い
アイスティーを揺らすストローが
落ち着きのない姿で動いて
積まれた氷を崩そうとすれば
心の階段を登りたくなる
幸せについて鳴らした鼓動が
隠していても伝わりそうな距離で
互いの時間が同じく刻む
カランという音をここに残して
割り勘のままで終わるつもりか
プログラム通りにはいかなくて
いつかきっとと思い直した
アンコールだけを
僕の手の中で握りしめていた
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