数が降る/水宮うみ
君の頭のなかに幾千もの数が降り続けている。
暇さえあれば君は、暇さえなくとも君は、一心にノートに数式を書き続ける。
あまりにも君が夢中だからみんな不思議がるけど、なんのことはない、数が降ってきているだけなんだよね。
目には見えないものを数え続けているだけなんだよね。
今の君の世界にはきっと、数しかない。
君の書く数式は、美しくて、
まるで世界とはなにも関係がないみたいだ。
いつか君の世界に、数以外のものが降ってきたとき、
君がどんな式をつかむのか、楽しみだから、
僕はずっと君のそばにいるんだと思う。
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