ラストマン・スタンディング(或いは暴いた繭の中の)/ホロウ・シカエルボク
 
んなものを誰もが手にすることが出来るじゃないか―例えばそれはページをめくったりすることでね―俺は腐敗物の敷き詰められた虫の巣の中で、やつらと一緒に下らない踊りなんか踊りたくはない、そのせいで沢山のバランスを失っているけれど、おぼつかない足元は逆に清々しいというものさ―いいかい、もう少しだけ喋らせておくれ、街の中だけじゃない、このどうしようもない街の中だけじゃない、いま俺が首を突っ込んでいるこの世界にだって、汚い鳴声の害虫はごまんと居る、そうして糞を撒き散らしているんだ…羽音が聞こえているだろう、いいかい、バランスを失うことを怖がってはいけない、それは決していい結果にはならない、どこでもいい、違うルートを選ぶことだ、無自覚からは腐敗しか生まれない、辺りを見回せばすぐにわかることだ、不自然な段差を選んで乗り越えればいい、ほんの少し景色が変われば手垢のついてないものを見つけ出すことが出来るのさ…。

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