ラストマン・スタンディング(或いは暴いた繭の中の)/ホロウ・シカエルボク
 
と、愚かな性交と、下衆な行為が渦巻く街、誇ることのなにもないこの街…なのにやつらは楽しそうな顔をしている、ただそれだけで生きていけると本気で信じている、近頃の異常な暑さのせいで、それは余計に狂ってきているみたいに見える…それは例えるなら害虫のようだ、あらゆる葉に喰らいついて駄目にしてしまうのさ、群がって…下品な羽音を立てながらね―窓ガラスに額をつけて街路を眺めていると、時々自分がファーブルになったみたいな気分になるときがある、カンサツするのさ…土をほじくる虫や、汚い鳴声の虫なんかをね…そうして、その中を歩く、失われたバランスの中できれいに歩くことは難しい、わかるかい、虫共は群がって来るんだ、あいつ
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