小舟までの距離感/瓜田タカヤ
実という生命のイベントの中では必ずしも
正しいフィルターを通して、成り立たないことを体感した瞬間であった。
その告白があった週の日曜、親父は俺を合浦公園に誘った。
そんなことは今まで一度もなかったので、俺は緊張した。
話すこともなく海を二人で歩いていると親父は「松ぼっくり」と突然言った。
「え?」と俺が聞き返すと「松ぼっくりを拾え」と命令口調で喋りだした。
俺と親父は、何を話すでもなく松ぼっくりを拾いまくる。
そして親父は松ぼっくりを使った遊びを俺に教えてくれた。
砂に落ちた相手の松ぼっくりに自分の松ぼっくりを投げぶつける、と言う遊びで
それは次の週もそうして遊んだし
[次のページ]
戻る 編 削 Point(13)