小舟までの距離感/瓜田タカヤ
 
味しく無かった。
その店の接客も余り良くなかった。

親父のことは嫌いだ。キチガイじみているからだ。
ただ俺がもし、自分の奥さんが寿司屋の職人と仙台へ逃げてしまって
その子供が二人残っていたら、親父のように責任をとろうとはしないだろう。
子供を奥さんのもとへ送り、
俺は酒におぼれる毎日を過ごすのだろう。

詩を書けない詩人でいられる言い訳を
一生かけて探すのかもしれない。

俺は本当は、誰とも暮らしていくことが出来ないのかもしれない。。

愛があるからという、未確認の真実に触りたがる距離感は
渡れそうで渡れないかもしれない、
小舟までへの距離感なのだ。

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