望んだような眠りがそこに訪れるはずもなく/ホロウ・シカエルボク
光源は視認することが出来なかった、辿ることが出来るほど確かな光ではなかった、黒焦げの夜は冷めた煤の臭いすら漂わせているようで、俺はそれを解き明かすことを選ばなかった、ただ道路標識のように朝が来るのを待っていただけだった、光はあるのだ、どこかしらに、いつも…ただそれが、俺にとって必要なものか、そうでないか、それだけの話だ―どれほどの時間が過ぎたのか判らなかった、いまこの時点で、自分が時間という概念を必要としているのか、それすらも、そうだ、俺はそもそも時計というものを認識していない、もちろん、感覚的にそれを利用することは出来る、だが、相容れない人間のように、それは俺という生体の奥深くまで侵入してく
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