少女の街/クロヱ
思い出の あの日誰かが飛び出した部屋に
何も言わず 黒に 片隅で尖る 少女がいた
「思い出の??
いや、違うな 積年の、だな」
ゆっくりと 飛び出した 全ては持てずに
帰ると告げて 帰らずのまま 帰心のあらず
あたしが いた
陽気に 時に激昂し 理解はなきものに感じて
寂しさを さみしいと
悲しさを かなしいと
いつも いつも そう いつでも
光の下では言えなくて
灰色の街
「遠くより 見えていて 近くより 見えないもの」
「母」と名づけた木のある花園が気がかりだ
いつも それだけが気がかりだ
枯れてやしないだろうか
あたしが 枯れさせてやしないだろうか
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