終末の時/いっと
 
最期は他人の手が
あなたを最も丁寧に整えてくれた

半開きの口の中は
いつか見た洞(うろ)のよう
きっと
永い時間に繋がっている

(あなたとわたしを分かつものが
(部屋に満ちて苦しい

荷物の準備はいつも間に合わない
急かされるように旅立つ血が
今日も、一滴、二滴と
流れ去り
またわたしたちは、永遠の片隅で
美しかったかけらたちの集合を
見送る

焼き付いて離れない
離れなくてよい

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