三文芝居/瑠音
わたしがだれにもわたせないのは
生活と いのちなのだとおもう
かみさま というひらがな
ちりぬるをわか
あのこが結婚を するとゆった
地下鉄桜通線の駅の名前をひとつひとつ確かめる
もうななねん
だけど覚えられないから
たぶんもう覚えない
いまいけ の音を聞いて慌てて降りるの
繰り返し
こうしてこぼれていって
わたしはひとりになるのだなぁ
そんなことを考えているうちに
愛するバーテンダーがひとり 夢を叶えた
わたしのかなしみ
わたしのよろこび
わたしのくるしみ
わたしのしあわせ
ひとり になったらどうなるのだろう
だれもがどこかに帰る家がある世の中
ではないことを知ってから
いえをうしなうのがこわい
だれもが夢を叶えられる世の中
ではないことを知っていて
ゆめをもちなさいというのがこわい
いまさらとわらってくれるひとがいたなら
あのときあなたにぜんぶあげたかった
あのときあなたにぜんぶあげたかった
かみさま というひらがな
ちりぬるをわか
あのこが結婚を するとゆった
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