しあわせを呼ぶハミング/秋葉竹
紙ヒコーキを飛ばす
君といっしょに。
すべるように飛べ、青空へ向かって。
梅雨のなかやすみに近くの河原で、
君の部屋でていねいに折った
ピンクの紙ヒコーキを飛ばす。
飛ばすことに飽きてくると、
黄昏がだまりこんでしまって、
僕の願いは、灰色の雲のなかへ迷い込む。
たいせつな場所へ
いつでも行けるわけではないのですね?
教わったけれどね、
理由なんて、嘘だよね?
いまはこうして君と手をつないでいられるだけで、
いいから、
君がハミングする夏の歌がそっと、
僕にやさしい眠りをあたえてくれるなら、
そのとき、
僕と君は今日飛ばしたヒコーキに乗って
しあわせなあの頃に戻っていける自由を、
ふたりがかりで、
分かちあえるのかもしれない、ね。
戻る 編 削 Point(5)